【 「元禄名槍譜:俵星玄蕃」 雑感 】
人は何をしに生まれてきたのか? を考える。
すでに鬼籍に入られていますが、昭和の大歌手で「三波春夫」という方がいらっしゃいます。「お客様は神様です。」というセリフでも有名ですね。
その三波さんの代表作に「元禄名槍譜:俵星玄蕃」という作品(歌)があります。YouTubeでも聞くことができます。
少々長い歌ですが、たいへん迫力のある感動的な作品です。ぜひ一度、お聞きになってください。
内容は、いわゆる「赤穂浪士」を題材としたものです。
四十七士のうちの「杉野十平次(スギノジュウヘイジ)」と、彼の槍術の師となった「俵星玄蕃(タワラボシゲンバ)」との交流を中心に歌い上げたものです。
(なお、俵星玄蕃は創作上の人物で、実在はしていないようです。)
赤穂浪士は、皆さんご存知かと思いますが、いわゆる「忠臣蔵」ですね。歌舞伎でも忠臣蔵は十八番です。
ごくごく簡単に言うと、江戸時代の元禄のころに、赤穂藩の藩主「浅野内匠頭長矩(アサノタクミノカミナガノリ)」の敵である「吉良上野介義央(キラコウズケノスケヨシヒサ)」を、家臣である大石内蔵助義雄(オオイシクラノスケヨシタカ)ら赤穂四十七士が苦心惨憺のうえ、討ち果たしたという史実です。
その四十七士のなかに「杉野十平次」がおり、杉野は、屋台の蕎麦屋に変装して、吉良の動静をうかがいつつ、俵星玄蕃から槍術の極意を授かります。
みなさん、想像ができますか?
それが、『命惜しむな、名をこそ惜しめ!』です。
師である俵星玄蕃が、主君の仇討のために健気に努力精進する弟子杉野十平次に、戦いに当たって贈った言葉です。
戦いと言ってもスポーツではありません。命のやり取りをする、生死にかかわる戦いです。その討ち入りに向かう弟子に対して、「命を惜しんではならない。名誉を汚すことの無いように存分に戦え。」と叱咤激励したというわけです。
翻って、昨今の東京都知事の進退問題に関する報道を見聞きしていると、やりきれない思いでいっぱいになります。
我が国の首都のリーダーがこの有様とは・・・
わずか70数年前に、我が祖国を思い、敵に対して立派に戦いを挑んで散っていった若者があまた居た日本国であるのに、この変わりようはいったい・・・?
・・・と、言うようなことを徒然に考えていました。
人はみな、何も持たず、この体さえ置いて、旅立ちます。
いわゆる「出処進退」を間違えずに、「命惜しむな、名をこそ惜しめ」の精神のほんの少しでも実現して、次の人生に進みたいと自省する良い機会となりました。
以上、とりとめのない話に付き合っていただいて、ありがとうございました。