アルティ法律事務所(弁護士瀬戸仲男)のブログ徒然草

アルティ法律事務所(弁護士瀬戸仲男)のブログです。不動産・建築関係や相続・離婚など弁護士業務に関するもの、その他面白そうな事柄について徒然なるままに書いていきます。よろしく、どうぞ。

◆いま話題の「地面師」セミナー【第2回】◆

 

「地面師セミナー」のレジュメの公開、第2回です。

今回は「CHARTⅡ」(地面師事件の登場人物)と、

「CHARTⅢ」(地面師事件の典型的パターン)です。

次回は、なぜ買主はだまされるのか、という基本的な視点からアプローチします。

 

CHART

 

 

【地面師事件の登場人物】 ***********************

 

1 「地面師」とは、どんな人たちなのか?

実は、これがよくわからない!?(素性を隠す詐欺師だからねぇ。)

 

地面師たちは、単独犯ではなく「グループ」で行動する。

地面師事件に登場する人たちのうち、どこまでが地面師グループなのかが、実はわかっていない。

 

2 地面師事件を振り返ってみると、色々な人物が登場している。

  グループの中で「役割分担」(分業化)がなされている。

 

下図の登場人物たちのうち、「地面師グループ」と「そうでない者」との境界(線引き)が明確にはわからない。

 

下図の右側の人たちは、「私もだまされていた。被害者だ。」などと言って言い逃れ(?)をする。

捜査機関の方々(2課の刑事さんたち)の苦労は察するに余りある(知能犯は手ごわい相手である)。

 

              世話役  ブローカ-

              代理人   コンサルタント

主犯 ・・・・・・・・・・・ ニセ地主 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 買主

(プロデューサー)  (成りすまし犯)    仲介業者      (カモネギ君?)

図面師                      不動産業者

印刷屋                       司法書士

手配師                        弁護士 

 

 

 

 

CHART 

 

 

    【地面師事件の典型的パターン】 ********************

 

     1 地面師たちは、住宅地図(航空地図)を利用して、対象地候補を探す。

 

         ※地図から対象地候補を探す作業をする輩を「図面師」という。

 

     2 対象地に適した土地(つまり、“地面師に狙われやすい土地”)とは?

 

      (1) 更地、空き地、駐車場 etc.

           *売りやすい。

           *建物があると、買主側が現地調査し聞き込みした際にバレやすい。

 

      (2) 都心部で立地が良い土地 

           *買い手多数あり。→売りやすい。

           *近所付き合いが希薄で、聞き込み困難。→バレにくい。

 

      (3) 所有者が高齢 

           *管理されていない可能性大。

           *代理人コンサルタントなどが窓口になっても、疑われにくい。

 

      (4) 長期間にわたり担保権設定されていない土地(無担保、無借金)。

        名義変更(所有者変更、所有権移転登記)されていない土地。

           *所有者が高齢化している可能性大。

           *管理してない可能性大。

 

      (5) 所有者が遠方に居住 

           *所有者が、気が付かない可能性大。

           *買主(カモネギ君)も、所有者の情報を得られにくい。

           *たとえ遠方であっても、費用をかけて調査すべきであるにもか

            かわらず、調査を仲介業者任せにしてしまいがち。

 

      (6) 高額物件大きい(地積が広い)物件 

           *取引額が大きく、利益が大きい。

           *地面師にとって効率的、かつ、腕が鳴る(?!)。

           *面開発に適した物件は貴重であり、買い手が殺到    etc.

 

 

     3 対象地候補が決まったら「現地調査(実地踏査)」をする。

          *買主側からの質問に答えられるように、現地や周辺を調べる。

          *悪い点も確認する。早く売るために値引きすることが多いが、買主から値引きの

           理由を 聞かれた際に答えられるようにする。

          *近所の人間関係(近所付き合い)を確認する。

          *近所の人を通じて、本人確認されるおそれの有無、可能性の確認。

          *あるいは、近所の人に成りすます準備をする。

 

     4 本物の地主(真の所有者)の情報をできるだけ多く集める。

          *ニセ地主(成りすまし犯)を仕立てあげる際に、本物らしく見せる。

          *地面師は「演技力」がキーポイント!

 

     5 登記を確認する。

          *所有者が遠方に居住している物件を絞り込み、対象地を決定する。

 

     6 対象地を決定したら、「売主」を装って、あるいは、売主の「代理人」だと偽って、

      仲介業者に売却依頼をする(物件情報を流す)。

        ↓

      仲介業者(不動産会社)は、知らないうちに詐欺師の共犯にされてしまう可能性あり

      要注意!

        ↓

      どういうことか?

        ◆仲介業者のみなさんは、「良い物件」の情報が来ると、喜び勇んで買主を探そうと

          しません か?(気持ちはよくわかるが…)

        「誰でも飛びつくような物件」、「のどから手が出そうなくらいに良い物件」の情報が

        来たら、ちょっと立ち止まって、深呼吸を!

        くれぐれも間違いの無いように、注意すべし!

        (営業成績だけに走っていると大変なことになるかも?!)

 

     7 ニセ地主(成りすまし犯)の人選、予行演習

         *ニセ地主(成りすまし犯)を探す役割の「手配師」が存在する。

         *手配師のネットワークがある。

 

       ※ニセ地主(成りすまし犯)の条件

        ①真の所有者に年恰好が似ている

        ②身元が容易にわからない(目くらましの住所移転)

        ③犯罪歴が無い

        ④会話がスムーズ(あるいは、逆に、無口・ボケたふり)

        ⑤記憶力が良い

        ⑥演技力がある

        ⑦素人っぽく見える    etc.

 

      ※手配師がどこから候補者を探してくるのかは、わかっていない。

       演技力があって、記憶力も良く、会話がうまい。しかも、身元が容易に発覚しない人、

      となると、過去に客商売をしていて成功していたが、今は落ちぶれてひっそりと暮らして

      いる人(水商売、ホステスなど)…か?

 

      ※プロデューサーである主犯(黒幕)は、ニセ地主(成りすまし犯)候補者を相手に面接をし、

       予行演習をする。

 

      ※主犯にとって、ニセ地主(成りすまし犯)は、イザとなったときに切る「使い捨て」の

       逮捕要員(トカゲのシッポ)。

       しかし、成否を分けるキーマンでもあり、慎重に人選する。

       成りすまし犯の報酬は、数十万~数百万とも言われている。

 

     8 小道具をそろえて、文書を偽造

       ※買主をだます(信用させる)ために偽造する書面等

          ①登記関係書類(権利証、登記識別情報通知書)

          ②登記事項証明書(登記簿)

          ③固定資産評価証明書

          ④印鑑証明書 …… 実印も偽造

          ⑤身分証明書(運転免許証、パスポート、保険証、住基カードなど)

          ⑥委任状

          ⑦公正証書(本人確認の証明書)

             ◆公正証書って、100%信用できると思いますか?

             (そりゃぁ、思うよね。普通はね。だって「公正」証書だもの)

 

     9 偽造書面等を使って、相続登記など所有権移転登記を申請。

         *ウソの登記申請をすれば、電磁的公正証書原本等不実記録罪(同共用罪)で、

          5年以下の懲役(刑法157条)

         *更に、詐欺罪により10年以下の懲役(刑法246条、未遂処罰規定あり)

         *地面師事件の場合、被害額が高額であるので、たとえ初犯であっても、

          実刑は免れない(執行猶予は付かない)。

 

 

     10 “代理人”が、買主予定者と面談

        *主犯は決して表に出ない(後ろで糸を引いている「黒幕」)。

        *ニセ地主も、なかなか表に出てこない。

        *地主の「代理人」などと称する者が取り仕切る。

        *偽造書面等を見せて、安心・信用させる(→だます)。

 

     11 取引パターン

     (1) 基本パターン

        *登記上の所有者に成りすまして、直に売却

        *登記上の所有者から所有権移転登記をして、直に売却

 

     (2) 間に数社(者)介在させるパターン

       間に他者をかませることの表向きの理由は、

      ① 中間省略登記を行って、節税(登録免許税などを節約)する。

      ② 間に入る関係会社に利益を落とす。

      ③ 第1売買の売買契約書を作成(虚偽の内容)して、その契約書をカモネギ君(買主、

       だまされる被害者)に見せて信用させる。

     などという理由。

 

    ❶<他人物売買パターン>(民法560条)

 

      *所有者から買って(第1売買)、転売(第2売買)するパターン

      *所有者が第1売買を実行してくれるのか? が問題だが、ニセ地主(成りすまし犯)が

       (ウソの)売却を約束している。

      *業法(宅地建物取引業法)では、不動産業者(宅建業者)が他人の所有する不動産

       について、自らが売主となる売買契約が、原則として、禁止されている。

       但し、所有者との間ですでに売買契約や売買予約などを締結している場合は、例外的に

       認められる。

     *他人物売買の場合、第1買主(不動産業者)が契約を結んだ時点では、その不動産業者は

      所有者と契約書を取り交わしただけに過ぎず、所有権移転登記はなされておらず、せいぜい

      仮登記(売買予約の仮登記)を付けるだけである。

      このような状態のままでも不動産業者(第1買主、転売人)が第2買主(カモネギ君)に物件を

      売却することはできる。

      最終的に予定されている形式は、登記手続的(技術的)に不動産業者からの所有権

      移転登記ではなく、第1売主(所有者)からの所有権移転登記(中間省略登記)の形式をとる。

 

 

    *「他人物売買」の制限はあくまでも一般客(エンドユーザー)を保護するためのものであり、

     宅建業者同士であれば「プロ同士の取引」として、他人物であっても売買が可能とされている。

 

    Cf. 第1売主は本物だが、第1買主(第2売主、転売人)が地面師で、第2買主から売買代金を

      受領して消えるケースもある。

      このケースでは、第1売主が本物なので、第2買主が詐欺を見抜くことができずに信用する

      おそれが大きい。

 

    Cf.「積水ハウス事件」は他人物売買パターンのケース

     第1買主(不動産業者)がニセ地主(売主)から購入した後に積水ハウスに転売(予約)する

     という方法で行った取引である。

     不動産業者間では、このような取引行為は珍しくはない。バブル期の頃には、複数の第三者

     (不動産業者)が介在して転売を繰り返し、取引のたびに価格を釣り上げるといったケース

     もあった。

 

    ❷<契約上の地位の移転パターン>(民法改正法539条の2)

 

       *「契約上の地位」というものを譲渡することは可能(適法)。

       *例えば、第1売買の「買主の地位」を譲渡するパターン

       *但し、契約の相手方当事者(第1売買の売主)の承諾が必要で、この相手方当事者も

        ニセ地主の地面師グループの一員

 

    ❸<三ためパターン>(民法537条)

 

       *「三者のためにする契約」を利用するパターン

       *買取転売業者が投資家向けに投資マンションを1棟売りする際などに利用されることが

        多い(多くは適法な取引行為)。

       *買取転売業者にとっては便利だが、地面師らの片棒を担ぐ結果となるおそれがある

        ので、要注意!

 

    (3) 所有権移転の仮登記が付いた物件について、所有権移転を何回も繰り返すパターン

 

    (4) 多重詐欺のケース

 

        *地面師は、まず、他人の土地の所有者に成りすまして、第1買主(被害者)に売却して

         代金を詐取する。

        *更に、地面師は、その第1買主(被害者)に成りすまして、次のターゲット(第2買主、

         第2の被害者)に売却して代金を詐取する。

 

◆いま話題の「地面師」セミナー【第1回】◆

昨年から「地面師」による被害が話題になっていますね。

積水ハウスが63億円の被害にあったとか、アパホテルが12億6000万円の被害だとか・・・

一般人にとっては想像を超える被害額ですね。

そのような状況を踏まえて、今年(平成30年)の1月16日(火)に、不動産経済研究所の主催する「地面師セミナー」が東京で開催されました。

僕も、このセミナーに呼ばれて、「地面師」対策についての講演を行いました。

その後、同様のセミナーが地方でも開催され、講演しました。

そのセミナーで、僕が執筆したレジュメが好評でしたので、この「ブログ徒然草」で公開することにします。

A4版で20ページ以上のボリュームですので、いっぺんに公開することはできませんが、何回かに分けて、公開します。

不動産会社の仕入れ担当者や、仲介担当者など、地面師被害にあう可能性のある方々の参考になれば、望外の喜びです。

では、今回は【第1回】です。

 

CHART

 

 

【地面師事件の歴史 ・ 経緯】 *********************

 

1 地面師事件は古くからある犯罪(詐欺罪、付随的に文書偽造の罪など)

*古くは「即決和解」や「欠席裁判」を利用した地面師たちがいた。

*なぜ、詐欺師たちは土地取引(売買)に参入してくるのか?

 

2 昭和20年の終戦後の混乱期

我が国土(特に大都市部)が米軍(連合国)の空爆により焦土と化し、登記事務等の行政機能が有効に働いていなかった時代

 

3 バブル期

不動産投資熱が高まった時代

 

4 そして、現在、地面師が活発化する要因が発生している。

一方で

金融緩和政策(ゼロ金利→マイナス金利)、東京オリンピックの開催決定、リニア新幹線の建設、新虎通り(マッカーサー道路)の開通などにより、不動産投資熱が高まり、マンション開発・建設ラッシュの様相を呈している時代

バブル期と同様に、不動産投資熱が高まっている。

 

他方で

高齢化社会の出現(土地所有者が高齢化)

管理能力の低下

空き地、空き家の発生

相続登記の未了

 

更に

技術革新(デジタル技術、3Dプリンターの出現)

印刷業界の不況(→印刷技術者が失業し悪に手を染める?)

インバウンドの拡大(→外国人犯罪の増加)

法律家の増加(弁護士が余ってきた……?!)      etc.

 

 

 

次回は、「地面師事件の登場人物」についてのレジュメです。

ご期待ください。

 

【 TVドラマ 「仰げば尊し」 終了に当たって 】

 

この春からのクールのTVドラマでは、「ビジネスもの」がいくつかありました。

 

家売るオンナ」は不動産業界(主演:北川景子さん)

HOPEー期待ゼロの新入社員」は総合商社業界(主演:中島裕翔くん)

「営業部長 吉良奈津子」は広告業界(主演:松嶋奈々子さん)

 

それぞれに、各業界の中身(現場の様子)が少しわかって、興味深い内容でした。

特に、以前にもブログに書きましたが「家売るオンナ」は不動産業界の話で、僕自身が、弁護士になる前に不動産会社にいた関係で、注目していました。

実際の不動産業界の現場とはかけ離れている部分もありましたが、概ね、実際の業界の様子がわかって、面白い内容でした。

もっとも、サンチー(北川景子さんが演ずる「三軒家万智」)のような人はめったにいませんが!?

 

さて、ビジネスもののTVドラマが目に付いたクールでしたが、僕が素直に感じ入ったのは、日曜劇場「仰げば尊し」でした。

寺尾聡さんが演ずる「樋熊先生」が、荒れた高校に赴任して、いわゆる不良の生徒たちをも巻き込んで、「広い世界を見に行こう!」と奮闘努力する物語でした。

僕の印象では、前のクールの「重版出来」(主演:黒木華さん)、その前のクールの「表参道高校合唱部」(主演:芳根京子ちゃん)に通じるものが、この「仰げば尊し」にも引き継がれているように感じました。

それは、

仲間と一緒に夢を見て、努力することの大切さ

です。

 

世間は若者に対して「無気力」だの「無関心」だのと、勝手なことを言うことがありますが、それは、若者に接する大人の側の姿勢の反映であるともいえるのではないでしょうか。

若者は、導き手である大人の背中を見て敏感に反応します。

いくら口では良いことを言っていても、大人の行動が悪ければ、若者から信用されません。当然のことですね。

 

樋熊先生のように、全身全霊でぶつかって導いてくれる先生のことを「恩師」と呼びます。近頃は、この「恩師」を、とんと見かけなくなったような・・・

僕らが中学生や高校生だった頃は、まだ「恩師」と呼べる先生方がいらっしゃいました。そのころの先生方は、単なる「サラリーマン教師」ではなく、おおげさに言えば、使命感のある聖職者としての一面を備えていらっしゃった、と感じています。

「恩師」が絶滅危惧種っぽくなりつつある現在、「恩師」に出会えることは大変な幸運です。

が、しかし、「恩師」の方から近づいてくることは少ない(あるいは、近づいてきてくれたとしても、そのことに気が付かない)ように思います。

「恩師」が来てくれるのを待っているのではなく、自ら引き寄せる意思が必要であるように思います。

そして、「恩師」を引き寄せることができるタイミングとして、年齢は無関係である、と僕は確信しています。

僕も、高校を卒業してすでに数十年以上が経ちますが、今年、たぶん「恩師」と呼べるようになるであろう人に出会いました。

その出会いは、他人に言われたわけでもなく、自分自身の意思で、進み出て選択したものです。客観的に見れば、「無謀」の一言のような選択ですが、数か月経って、自分の選択が正解だったことが明らかになりつつあります。

皆さんも、いくつになっても、「仲間と一緒に夢を見て、努力することの大切さ」を信じて、今回の貴方の人生を有意義なものにするよう、頑張ってください。

今回の貴方の人生は貴方のものです。

貴方の「応援団長」は、他でもない、「貴方自身」です。

自分を好きになり、自信を持ち、自分を大切にすることこそが、他者(仲間など)をも大切にすることにつながる道だと思います。

この単純な真理を、将来の我が国を背負う若者諸君が理解し、実践し、良き未来を切り開いてくれるであろうことを期待しています。

 

 

 

 

 

 

【 TVドラマ 「家売るオンナ」 雑感 】

今月(7月)中ごろから、新しいTVドラマが始まりました。

“ 恋愛ものではないもの ”を中心にいくつか見ましたので、徒然なるままに感じたことを書いていきます。

 

まずは、第1弾として「家売るオンナ」。

いやぁ~、強烈ですねぇ!

主人公の「三軒家万智」(サンゲンヤ マチ、北川景子さんが演じています)が「私に売れない家はない!」と豪語して、実際に家を売りまくります。

 

第1話では、立地も間取りも悪いマンションを、ドクター夫婦に売却しました。

ドクターの当初の希望条件には全く合わない物件だったのですが、ドクター家族(父親、母親、息子)に本当に必要なものは何なのか、それを見極め、創意工夫を凝らして、堂々と真正面からプレゼンして、売り切りました。

あっぱれ! の一語ですね。

 

第2話では、40歳代の「引きこもりおじさんYOSHIKI」の将来を見据えて、これまた、顧客(YOSHIKIの父母)の当初の希望とは異なる提案をして、二つのマンションを両手(売主と買主の両方から仲介手数料をもらうこと)で売り切りました。

この第2話でも、他の営業マン(工藤阿須加クンが演ずる「庭野聖司」)の一見正しそうに聞こえる意見・忠告を無視して、YOSHIKI家族に必要なものを洞察して、営利性と社会性(売上増と社会貢献)を同時に達成しました。

第3話がどのような話になるのか、楽しみです。

 

このドラマの評判をネットでみると、三軒家チーフ(北川景子さん)のオーバーアクション(「白洲美加、GO!」という顔アップのセリフなど)が受けているようですね。

 

僕も、同様に三軒家チーフの動き(発言や歩き方など)が面白いと思いますが、それだけでなく、このドラマで「対比」されている構成に興味を引かれました。

それは、三軒家チーフと、屋代大(仲村トオルクンが演ずる営業課長)の、部下に対する態度の相違です。

屋代課長は「叱っても駄目だ。できるまで優しく丁寧に教えなくちゃ。うまくできたら褒めてあげるんだ。」という、当節流行の「優しさ派」です。

これに対し、三軒家チーフは、ズバリ!「スパルタ式」とでも言うべき「強さ」を前面に押し出した態度です。

皆さんは、「優しさ派」と「スパルタ式」のどちらの上司・仲間を望みますか?

 

既に話題になって久しいですが、新入社員諸君が叱られるとすぐに会社を辞めてしまう、ということが報道されています。

このような傾向に対して、「家売るオンナ」は、アンチテーゼとして、「厳しく対処して成長を促そう!」と主張しているように、僕には感じられました。

「優しさ」とは何なのか、は一概に断定できないものかもしれませんが、

僕は、「優しさ」は「強さ」に裏打ちされたものではないか、と思います。

 

かつて、ビールのTVCMで憧れの高倉健さんが言っていたセリフ、

「男は強くなければ生きてはいけない。優しくなければ生きている資格はない。」

というのは、もともとはフィリップ・マーロウの言葉ですが、真理をついているように思えます。

 

あのマザーテレサも、弱者に対する「優しさ」に満ち溢れた人として伝えられていますが、一方で、マザーテレサは施設の資金集めなどについて強い信念で強引な面も見せて行動していたそうです。

ただ単に薄甘いひ弱な女性ではなかったようですね。

 

三軒家チーフも、白洲美加(イモトアヤコさんが演ずる営業ウーマン)に対して、かなり強引な指導をしています。傍目には「指導ではなく、イジメでは?」と見えるかもしれませんね。

でも、僕には、三軒家チーフは、単に「強く」イジメているわけではなく、白洲美加の将来を考えて、叱咤激励しているように思えます。

今後、白洲美加がどのように成長していくのか、も興味深いところです。

 

以上、取り留めもなく雑感を書いてきました。

次は、寺尾聡さん主演の「仰げば尊し」の感想も書いてみたいと思います。

みなさん、よろしく、どうぞ。

 

 

 

 

ドラマ 【重版出来】 が終了しました。

昨日6月14日、ドラマ「重版出来」が終了しました。

もともと、ドラマのタイトルからは何も感じるものがなく、たまたま火曜日の夜に在宅していて、第1話を見ました。

それ以来、ひき付けられました。これがいわゆる「はまった」という状態なのかもしれませんね。

 

見ていた方はお分かりですが、見ていない方のために一言で言うと、「仲間を信じ、自分を信じ、目標・夢に向かってみんなで努力・前進していく」ドラマでした。

僕の印象では、去年放映された「表参道高校合唱部」に少し通じるものがあったように思われます。

 

昨今、「個の尊重」という教育方針の負の面の現れなのか、「個」の間のつながりが薄れて、「全・公」としての調和が壊れつつあるように感じられます。

明治維新を推進し、欧米諸国以外ではじめて「国民国家」を作り上げて、欧米の植民地にならずに「独立」を保持し、数度の国難に立ち向かいこれを乗り越えてきた我が日本国が、このまま「全・公」の精神を失って滅び行くとしたら、残念至極です。

 

「重版出来」を見ていて、僕は思いました。

次代を担う若い諸君が「仲間を信じ、自分を信じ、目標・夢に向かってみんなで努力・前進していく。」ことに喜びを感じてほしい。

「未来を切り開くのは自分たちである。」という単純かつ崇高な事実が、諸君の進む先にあります。

どうぞ、悔いの無いように、自分自身を磨いて、諸君の実力を「全・公」に還元してください。

 

【 「元禄名槍譜:俵星玄蕃」 雑感 】

人は何をしに生まれてきたのか? を考える。

 

 すでに鬼籍に入られていますが、昭和の大歌手で「三波春夫」という方がいらっしゃいます。「お客様は神様です。」というセリフでも有名ですね。

 その三波さんの代表作に「元禄名槍譜:俵星玄蕃」という作品(歌)があります。YouTubeでも聞くことができます。

 少々長い歌ですが、たいへん迫力のある感動的な作品です。ぜひ一度、お聞きになってください。

 

 内容は、いわゆる「赤穂浪士」を題材としたものです。

 四十七士のうちの「杉野十平次(スギノジュウヘイジ)」と、彼の槍術の師となった「俵星玄蕃(タワラボシゲンバ)」との交流を中心に歌い上げたものです。

(なお、俵星玄蕃は創作上の人物で、実在はしていないようです。)

 

 赤穂浪士は、皆さんご存知かと思いますが、いわゆる「忠臣蔵」ですね。歌舞伎でも忠臣蔵は十八番です。

 ごくごく簡単に言うと、江戸時代の元禄のころに、赤穂藩の藩主「浅野内匠頭長矩(アサノタクミノカミナガノリ)」の敵である「吉良上野介義央(キラコウズケノスケヨシヒサ)」を、家臣である大石内蔵助義雄(オオイシクラノスケヨシタカ)ら赤穂四十七士が苦心惨憺のうえ、討ち果たしたという史実です。

 その四十七士のなかに「杉野十平次」がおり、杉野は、屋台の蕎麦屋に変装して、吉良の動静をうかがいつつ、俵星玄蕃から槍術の極意を授かります。

 

 その、俵星玄蕃杉野十平次に授けた「極意」とは何か?

 みなさん、想像ができますか?

 

 それが、命惜しむな、名をこそ惜しめ!』です。

 

 師である俵星玄蕃が、主君の仇討のために健気に努力精進する弟子杉野十平次に、戦いに当たって贈った言葉です。

 戦いと言ってもスポーツではありません。命のやり取りをする、生死にかかわる戦いです。その討ち入りに向かう弟子に対して、「命を惜しんではならない。名誉を汚すことの無いように存分に戦え。」と叱咤激励したというわけです。

 

 翻って、昨今の東京都知事の進退問題に関する報道を見聞きしていると、やりきれない思いでいっぱいになります。

 我が国の首都のリーダーがこの有様とは・・・

 わずか70数年前に、我が祖国を思い、敵に対して立派に戦いを挑んで散っていった若者があまた居た日本国であるのに、この変わりようはいったい・・・?

 

 ・・・と、言うようなことを徒然に考えていました。

 人はみな、何も持たず、この体さえ置いて、旅立ちます。

 いわゆる「出処進退」を間違えずに、「命惜しむな、名をこそ惜しめ」の精神のほんの少しでも実現して、次の人生に進みたいと自省する良い機会となりました。

 以上、とりとめのない話に付き合っていただいて、ありがとうございました。

 

 

 

【 弁護士相談(法律相談)を上手に利用する方法 】

 「裁判所から書類が来た! どうしよう!」などという経験は、めったにあるものではありませんね。真面目に生活していてれば、弁護士さんに相談(法律相談)に行く機会は多くはないはずです。

 しかし、だからこそ、法律相談をしなければならない時に、どうしたらよいかわからない、という人も多いようです。

 今回は、法律相談についての注意点をいくつか整理してみましょう。

 

【1】そもそも、弁護士さんに相談した方がよい場合とは、どのような場合か?

 これは要するに「困った場合、ピンチに陥った場合」という場合が多いと思いますが、それだけではありません。

 以下に、いくつか類型化して考えてみましょう。

 

(1)裁判所から書類(訴状、呼出状など)が来た!

 この場合は、他のことは保留して、できるだけ早く弁護士さんに相談に行きましょう。放っておくと、無条件で負けてしまうこともあり得ます。

 相談に行く際には、届いた書類などを、封筒も一緒にそのまま持っていきましょう。

 たまにいますが、訴状を受け取って、カーッ!となって、破いたり、消えないペンでごちゃごちゃに書き込んだりする人がいますが、冷静になるのが大事です。

 

(2)弁護士から書面(内容証明郵便など)が来た!

 この場合、多くは「話があるので、私(差出人の弁護士)の事務所に来てほしい。」というような内容だと思われます。

 相手はプロの弁護士です。素人が無防備のまま対決しても、良い結果になるとは思われませんね。では、どうしたらよいのか?

 答えは簡単。プロの意見を聞けばよいのです。相手方弁護士から北文書を、他の弁護士に読んでもらって、今後どのようになっていくのか、どのように対処したらよいのか、アドバイスを受けましょう。「生兵法は怪我のもと」ですよ。

 

(3)弁護士をうまく利用してみよう!

 弁護士さんの利用方法は、上記(1)や(2)のような「ピンチ!!」という場合だけではありません。

 何か行動を起こそうとする場合に、事前に弁護士に相談して、自分の行動予定の危険性(リスク)を聞いておくのが良いでしょう。

 弁護士という職業は、紛争が起こってしまった後の処理だけが仕事ではありません。

 紛争にならないように、普段から危機管理(リスクマネージメント)に気を配るのも弁護士の仕事です。

 例えば、皆さんも、病気になった後に医師に診てもらうだけでなく、病気にならないように健康診断を受けたりしますよね。

 それと同じです。悪い状態にならないように、事前に弁護士に相談して、上手に行動するようにしましょう。「備えあれば憂いなし」ですね。

 

【2】弁護士さんを選ぶ基準は?

「弁護士に相談しよう!」と決めても、どのような基準で弁護士を選んだらよいのか、弁護士に依頼するのに何か基準があるのか、気になりますね。

 もちろん、大きな事務所(弁護士がたくさんいる事務所)が良いとか、テレビでCMをやっている事務所が良いというようなハッキリした基準を持っている人は、自分のその基準を信じて、相談に行ってみましょう。

 では、どうしたらよいかわからない人は、どのような基準で弁護士を選んだらよいのでしょうか?

 それはズバリ! 「専門」と「相性」です!

 

(1)まず、「専門」について

 どの業界でも同じですが、専門の人に相談するのがベストですね。

 医師の業界は「外科」、「内科」、「小児科」、「耳鼻科」など専門の看板を出していますのでわかりやすいですね。

 これに対して、弁護士の業界は、専門分野を明示している人はまだ多くはないようです。が、しかし、今はインターネットの時代ですので、専門分野を確認できる場合もあります。大いに利用しましょう。

 そして、弁護士に相談の予約を入れる場合には、遠慮なく「〇〇先生の専門は何ですか?」と聞きましょう

 外国の事件が専門の弁護士に離婚や相続の相談をする、あるい交通事故や労働事件が専門の弁護士に建築や不動産の相談をするのは、お互いに困るでしょうね。

 

(2)次に、「相性」について

 これは本当に重要だと思います。弁護士と依頼者は「二人三脚」です。相性が良ければよい方向に行きますが、相性が悪いと勝てる事件も勝てなくなるかもしれません。

 では、相性の良い弁護士をどうやって探せばよいのか?

 これはもう、会って話をしてみるしか方法がありません。

 何人かの弁護士に会って、話をしてみて、相談しやすい、一緒にやっていけそうな弁護士を選びましょう

 何人もの弁護士に会えば、それだけ相談料が増えますが、皆さんの大事な(一生の)問題を託す人ですから、必要経費だと考えて相談に行きましょう。

 

 以上、長々と書いてきましたが、要するに、皆さんの普段の生活と同じです。

 例えば、皆さんは「今日のランチはどうしようか?」という時に、まさか、ラーメンを食べようと思って、寿司屋に行くなんてことはないですよね(「専門」の問題)。

 あるいは、女性でしたら、気に入った服が見つかるまで、何件もお店を回ったりしませんか(「相性」の問題)?

 弁護士を探すのも同じです。信頼して、一緒にやっていけそうな弁護士が見つかるように努力しましょう。

 

【3】相談に行く時の注意点は?

(1)資料を持参する関係図などを書いて整理して行く

 相談内容に関係するものはすべて持っていくようにしましょう。「これは関係ないかなぁ。」などと自分で勝手に判断しないで、全部持参するようにしましょう。

 それから、相談内容に関係したことを図や表にしておくと、話がしやすいかもしれません。例えば、「相続」の相談であれば、相続人(死亡者)と被相続人(遺族など)の関係図や、遺産の一覧表を整理して行きましょう。

 

(2)相談の時は、自分に都合の悪いことも隠さずに言う

 言いたくないという気持ちはわからないでもないのですが、自分に都合の良い点だけでなく、都合の悪い点も弁護士に話してみましょう。

 自分の弱点を踏まえたうえで対策を立てなければ、後でひっくり返されて、うまくいかなくなります。「天網恢恢疎にして漏らさず」とはよく言ったものです。

 

 以上のとおり、一般的な注意点をピックアップしました。

 これらを参考にして、皆さんが「相棒」となる弁護士に出会えるよう、祈念しています。頑張ってください! では。